これらの多成分解析は、通常の蛍光分光装置に下記のような性能を追加することにより実現できました。
- 吸光度を補正した真の蛍光スペクトル測定
通常蛍光スペクトルは試料自体の光の吸収分の影響を受けています。その影響分を自動的に差し引き、真の蛍光スペクトルを得ることができます。 - 多くのデータを短時間で取得する高速蛍光スペクトル測定
成分分離には多変量解析を活用するため、多くのデータが必要となります。本装置はライン検出器を用いることにより、短時間で蛍光スペクトルを取得可能です。 - 多変量解析ソフト向けの自動データ変換
励起光波長と発光波長を変化させて得られる励起・蛍光マトリックス(Excitation-Emission Matrix:EEM)のデータを多変量解析ソフトで解析できるデータ型式に自動的に変換します。 - 長波長側からの励起波長掃引
有機物の場合、紫外光により分解されるものもあり、励起波長を長波長側から掃引することにより、試料のダメージを最低限に抑えます。 - 高次光補正
蛍光指紋データには励起光の波長の二次光などが現れ多変量解析に影響を及ぼす可能性があるので、この高次光を補正する機能を有しています。
■細胞成長に伴う培養液の蛍光物質量変化
哺乳動物細胞培養を使用した 蛋白質製造の増加に伴い、細胞培養培地の品質を管理することがますます重要です。バイオリアクター用の細胞培養培地では、培地組成のわずかな違いでさえ細胞培養の増殖速度とその歩留まりに顕著な影響を与える可能性があります。
■ワイン成分分析・HPLC/MSに替わる高速分析
ワイン産業において、Aqualogを用いたA-TEEM※はワインのフェノール類の定量化に貢献できます。この手法は、ワインメーカーが行う従来の分析方法に比べて膨大な時間と費用を節約できるシンプルで高速な分析となります。
※A-TEEM:Absorbance, Transmittance and a fluorescence Excitation Emission Matrix
定量成分 | |
高分子タンニン | ワインの熟成において酸化を防ぐという重要な役割の渋味成分でもある |
ケルセチン配糖体 | 野菜や果物に含まれるポリフェノール成分(分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基 (ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環に結合したヒドロキシ基)を持つ植物成分の総称 |
ポリ/クム色素 | Coumarin dye(クマリン色素) |
カフェイン酸 | ケイ皮酸のバラ位およびメタ位がヒドロキシ化された構造を持つ芳香族カルボン酸で、フェニルプロパノイドの一種 |
マルビジン ジグルコシド | マルビン(Marlvin)。天然に存在するアントシアニンである。マルビジンのジグルコシドであり、アオイ属、サクラソウ属、ツツジ属などの植物の主要な色素となっている |
アントシアニン | ブルーベリーやナス、紫いもなどに含まれるポリフェノールの一種で、天然の色素。 植物が紫外線から実(身)を守るために蓄える成分ですが、古くから目の働きを高める効果や眼精疲労を予防する効果があることで知られている |
■水中有機物の挙動分析
水中に残留する油分の分析は水質管理や排水規制の観点から非常に重要ですが、溶媒抽出法やクロマトグラフ法では現場での迅速分析が困難です。Aqualogでは無試薬で簡便かつ迅速に油分濃度の測定が可能です。
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