温度計の仕様項目の1つで、測定にかかる時間の目安となります。この値が小さいほど、測定にかかる時間が短いことを意味します。ただし、メーカーによって基準が異なることがありますので、注意が必要です。
HORIBAでは黒体炉 の前に設置したシャッターを閉じた状態から開いたとき、温度計が示す最終指示値の95%の値に達するまでの時間(95%応答)を示しています。しかし、90%応答または63.2%応答などの時間を表示しているメーカーもあり、この場合95%応答で表示するより小さな値となります。
温度計の仕様項目の1つで、測定環境の温度変化に対する安定性の目安となります。
この値が小さいほど、測定環境の温度変化に対する安定性が高いことを意味します。
黒体炉 の温度を一定に保ち、温度計の周囲温度のみを変化させたときの温度計の指示値の変化を周囲温度変化1℃あたりに換算した値です。一般に、周囲温度の変化後、温度計が十分に安定した後に得られる指示値で評価されます。
ドイツの物理学者キルヒホッフが1859年に発見した熱放射に関する法則です(「放射率とは-黒体との比率 」)。
金を細かい粒子状に形成して、赤外線を吸収しやすくしたものです。可視光線も吸収しやすいので黒く見えます。
製品又は(及び)製品に使用した検査設備機器が、定められた基準(ISO-9001の工程管理基準又は設備の校正基準)に基づき校正されていることを証明する文書をいいます。製品の場合は、顧客による校正機能をもたない製品に限り発行いたします
放射温度計を校正するための装置です。黒体空洞と、黒体空洞を一定の温度に加熱または冷却する機構とで構成されます。
黒体空洞は、不透明な壁で囲まれた空洞で観測用の小さな穴が開いています。空洞外部からはこの穴を近似的に放射率ε=1を持つ「黒体」とみなすことができます。
温度計の仕様項目の1つで、同一条件(測定周囲温度、黒体炉温度)で繰り返し測定した場合の測定値のバラツキの度合いです。この値が小さいほど性能が優れています。
熱型赤外線センサーの1つで、多数の熱電対を直列につないだものです。HORIBAの放射温度計に使用されています(「サーモパイルについて」)。サーモパイルの温接点、冷接点は、それぞれ熱電対の測温接点、基準接点に該当します。
放射温度計の視野を被測定物が満たしていない状態をいいます(「標的サイズ/測定距離(測定視野) 」)。
熱型赤外線センサーの1つで、焦電効果 を利用しています。パイロセンサーともいいます。HORIBAでは、侵入者警報器や分析計の内部に用いられる焦電型赤外センサーも製造しています。
自発分極(電場を加えない状態でも電荷がプラスとマイナスに分かれて分布していること)している結晶またはセラミックを加熱すると、温度の変化によって分極の状態が変わり、結晶表面に電荷が誘発されます。この現象を焦電効果といいます。
1884年にオーストリアの物理学者ボルツマンが熱力学の理論から導き出した、熱放射に関する法則です(「放射温度計 」)。
物質の特異性に依存しない温度目盛として、1848年イギリスのケルビンによって提唱されました。熱力学的温度またはケルビン温度ともいい、熱力学の法則に基づいています。国際温度目盛によって、水の三重点(液体、固体、気体の3つの状態で共存する温度)0.01℃=273.16Kと定義されています。
スウェーデンの天文学者アンデルス・セルシウスが1742年に提案した温度目盛です(「温度計の歴史と単位 」)。セルシウス目盛を「摂氏」というのは、セルシウスの中国語表記「攝爾修」に由来しています。
放射温度計の仕様の1つで、放射温度計が温度を測定している領域のことです。HORIBAでは、標的サイズとそれを実現する測定距離で示しています。
標的サイズは、被測定物上における測定領域の大きさで、直径などで表されます。測定距離は、温度計先端から被測定物までの距離です。
製品又は(及び)製品に使用した検査設備機器と国家標準とのつながりを証明する文書をいいます。
トレーサビリティー証明書、又は(及び)校正証明書を補足、又は具体的に説明するためのトレーサビリティー体系をあらわした文書をいいます。
導体中に温度勾配があって両端に温度差があるとき、温度差にほぼ比例した起電力(電圧)が発生します。これを熱起電力といいます。熱電気と呼ばれる現象において発生している電位差のことです。
熱起電力 を利用する温度センサーで、2種の異なる金属の線の両端を接合したものです。
熱電対で温度をはかるときには、一方の接合部を被測定物に接触させ、他方の接合部は基準温度(0℃)に保ちます。被測定物に接触させる接合部を測温接点、0℃に保たれる接合部を基準接点といいます。
温度の異なる2つの物体を接触させると、温度の高い物体から低い物体へ熱エネルギーが移動します。これによって、2つの物体の温度差は次第に小さくなり、最終的に温度が等しくなって熱エネルギーの移動は止まります。このように熱エネルギーが全く移動しなくなったとき、2つの物体は熱平衡状態にあるといいます。
放射温度計の誤差要因の1つです。放射温度計と被測定物が置かれた空間を形成する壁(床や天井を含む)からの放射のことです。背光が誤差になりやすいのは、被測定物の放射率が低く、かつ背光の放射源となっている壁などの温度が放射温度計本体の温度と大きく異なる場合です。また被測定物の付近に高温の熱源がある場合には大きな誤差を生じる場合があります。
ドイツの物理学者ファーレンハイトが1720年に発明した水銀温度計に定めた温度目盛です(「温度計の歴史と単位 」)。
ファーレンハイトは、まずニュートンの提案に従って、融けかけた氷で得られた水銀液面の位置を0度、人の体温で得られた水銀液面の位置を12度としましたが、この間隔は粗すぎたため目盛を8倍細かくして96度としました。次にこの目盛で水の氷点を測定したところ、それぞれ32度弱、212度弱の値を得ました。そこで、水の氷点を32度、沸点を212度として目盛を定めました。最終的に定められた目盛では、体温は98.6度となります。
ファーレンハイト目盛を「華氏」というのは、ファーレンハイトの中国語表記「華倫海」に由来しています。
ドイツの物理学者プランクが1900年に発見した熱放射に関する法則です。
黒体が放出する放射エネルギー密度を、放射の波長とその黒体の絶対温度の式で表しました。この式に物体固有の放射特性を掛け合わせることによって、物体の温度と放射エネルギーの関係を完全に表すことができます。
Wλ=ελC1λ-5 [exp(C2/λT)-1]-1
ここに、Wλ:物体の-分光放射輝度
λ :波長
C1:放射の第1定数(3.74×104W・cm-2・μm4)
C2:放射の第2定数(1.44×104μm・k)
T :絶対温度(K)
ε λ :分光放射率
物質の光に対する透過率や反射率などの性質は光の波長によって異なります。これをその物質の分光特性といいます。波長毎に求めてグラフや表として示されます。
黒体(入射するあらゆる波長を吸収し、反射も透過もしない理想の物体)が放射する全放射エネルギーと実際の物体が放射するエネルギーの比です(「放射率とは-黒体との比率 」)。
放射温度の標的サイズよりも大きい被測定物であっても、その大きさによって温度計の出力が影響される現象です。放射温度計を選ぶときに気をつけなければならないポイントの一つです(「標的サイズ/測定距離(測定視野) 」)。