世の中の実に多くのものは、粒子や粉体の状態を介して生産されます。 食品や化粧品などの粉体のまま身の回りで用いられるものもあれば、筆記具のインクや塗料などのように懸濁液(スラリー)状態で使われるものもあります。 また、ガラスや電池などは作られる過程で粉体の状態を経ます。このとき粒度分布(粒子径分布)は、粒子状物質の多くの特性に影響を与え、品質や性能の重要な指標となります。 また、懸濁液中の粒子は孤立した状態でいることはかなり困難であり、凝集した状態も含んでいます。この分散状態を粒度分布測定することで確認することも実際に粉体を取り扱う上では非常に重要となります。 粒子状物質にもいろいろな状態のものがあり、乾燥粉体、懸濁液、エマルジョン、エアロゾル、バブルなど様々です。
その大きさも様々です。砂のようなミリメートル単位の粒子から、先端材料では1 nm程度まで小さいものまであり、その差は6桁、100万倍にもおよびます。 この100万倍という倍率は、1cmに対して適用すると10kmとなり、どれだけ広いサイズレンジを一度に議論しているかがわかっていただけると思います。
粒子径は、粉体としての性能にも大きく影響をおよぼします。 サイズと形状は流動性と圧縮性に影響し、一般的に、大きくて球状の粒子は容易に流動し、小さくて高アスペクト比の粒子は流動しにくくなります。 また、小さい粒子はより早く溶解しますし、懸濁液の粘度は小さい粒子の方が大きい粒子よりも高くなります。またナノ粒子は肺に深く浸透するため、安全面からの理由でも、多くの製品の粒度分布を測定し管理することが重要です。
また粉体の生産プロセスの管理をするときにも粒度分布は測定されます。 最もわかりやすい例は粉砕でしょう。粉砕は、粒子径を希望のサイズにまで小さくしていくことが目的ですが、変化を追跡するために粒子径を測定して状況を把握し終点を決めることが重要です。 そのほかにも破砕、解繊、均質化(ホモジナイズ)、乳化なども粒子径を希望のサイズにする操作になります。 他にも、スクリーニング、フィルタリング、サイクロンなどのサイズによる粒子の分離・分級工程や、顆粒化や結晶化などの粒子の造粒・成長工程においても、プロセスの前後で粒子径を測定することで管理することができます。
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