光は粒子に当たると、透過や反射、また屈折や散乱を起こします。このうち散乱光は光の波長と粒子径に応じて、遮光、回折、Mie(ミー)散乱、Rayleigh (レイリー)散乱に分かれます。遮光は十分に粒子が大きいときに起こり、光が遮られて粒子の影ができている状態です。
粒子が小さいとき、光は波としてふるまい粒子の後ろ側に回り込み、光の干渉を起こします。この干渉によって、粒子の真後ろに置かれたスクリーンには同心円状の光の模様ができます。この現象を「回折」と呼びます。さらに粒子径が小さくなるとMie 散乱が起こり、散乱光は前方だけでなく側方・後方にまで広がります。またこのとき、散乱角度に対する光強度が非常に複雑な模様(散乱パターン)が描かれます。
それより粒子が小さくなると、散乱パターンは等方的になり、Rayleigh 散乱が起こります。これらの散乱現象は、光の波長と粒子のサイズで決まる粒径パラメータで整理できます。
散乱光強度
散乱光の強度は、粒子の大きさに強く依存します。 特に粒子が小さいときに起こるRayleigh 散乱の領域では、散乱光の強度は粒子径の6 乗に比例します。 すなわち、10 倍大きい粒子は10⁶倍=100 万倍強い散乱光を放ちます。言い換えると、100 万個の粒子から出る散乱光の強さと、それより10 倍大きい1 個の粒子から出る散乱光の強さが同じになります。
Mie 散乱の領域になると、粒子径の6 乗よりは散乱光の強度の強くなり方はなだらかになっていく一方で、散乱光の強度は単調な増加ではなく、強くなったり弱くなったりと、振動するような形状になります。
それぞれの分析手法の原理と特徴、そして実際の粒度分布計でできることなどを次項で解説します。
HORIBAは、「Your Partner in Science」をテーマにオンラインセミナーで、各種分析の基礎やノウハウを紹介しています。皆様からのご視聴お申込みを心よりお待ち申し上げております。
粒子計測、蛍光X線分析、元素分析、分光分析、ラマン分光分析、蛍光分光分析、表面分析の基礎やノウハウを紹介したセミナー(アーカイブ動画)の一覧です。