サービス > 受託分析・試験サービス > 粒子解析 > エクソソーム個数濃度と粒子径分布評価
細胞から分泌される細胞外小胞の一つにエクソソームがあります。エクソソームは分泌した細胞由来の膜たんぱく質や miRNA といった機能因子を含んでおり、細胞の挙動を知ることができるので、バイオマ ーカーや薬効研究など、再生医療や予防医療で注目を集めています。
ガン細胞は正常細胞よりも多くのエクソソームを分泌するという予想もあり、個数濃度に関する研究が進められています。エクソソームの個数濃度を測定する際、粒子径が課題となっていました。
エクソソームの大きさはサブミクロン以下と言われており、フローサイトメトリーや電気抵抗法では検出が困難です。そこで、懸濁液中のナノ粒子の数を測定する手法として、Particle Tracking Analysis(PTA)があります。ヒト血清由来エクソソームの個数濃度と粒子径分布評価を紹介します。
図1に PTA 装置の概略図を示します。
キュベットセルに注入したサンプルにレーザ光を照射し、ブラウン運動している粒子の散乱光や蛍光をビデオカメラ(カラーCCD カメラ)上で可視化します。ビデオ画像から個数濃度を、ビデオフレーム間の移動距離から拡散係数を求め Stokes-Einstein式から粒子径を求めます。
ヒト血清を超遠心分離にて調製したエクソソームを PTA で測定しました。カメラ画像を図2に、カメラ画像から求めた粒子径分布を図3に示します。
得られた粒子径分布より、メジアン径は 223 nm、個数濃度は 2.3×108 counts / mL でした。
PTA を用いることで、懸濁液中のエクソソームの粒子径分布のみならず個数濃度も評価可能です。
今回用いた PTA 装置 ViewSizer 3000 は 3 種類のレーザ光源(青色、緑色、赤色)を有しており、さまざまな大きさの粒子測定に有効です。