サービス > 受託分析・試験サービス > 半導体 > ガリウム砒素(GaAs)の分析
ガリウムヒ素(GaAs)は Si と比較して電子移動度が高く、直接遷移型であるという特徴があります。 また、AlやInなどとの混晶を作ることでバンドギャップエンジニアリングか可能です。これより、トランジスタなどの電子デバイスや発光ダイオード(LED)といった光デバイスに用いられておりま す。このような多層になったデバイス構造の膜厚や混晶の組成比などを非破壊・非接触で評価できれば、研究開発や品質管理を行う上で非常に役立ちます。
分光エリプソメトリーは、入射光と反射光の偏光状態の変化を波長ごとに計測し、得られた測定データをもとに光学モデルを作成、フィッティング計算をすることにより薄膜の膜厚および光学定数(屈折率n、消衰係数k)を非破壊、非接触で求める分析手法です。この手法を行う装置を分光エリプソメーターといいます。
測定したサンプルは、トランジスタに使われる GaAsとAlGaAs の積層構造です。これを分光エリプソメーターで測定し、各層の膜厚と光学定数(n&k)、さらにAlGaAsの組成比を求めました。
図2に光学モデル、およびフィッティング計算によって得られた膜厚とAlGaAsの組成比を示します。AlGaAsの組成比は、得られた屈折率(n)と消衰係数(k)から計算されます(図4, 図5)。この積層構造は GaAs Cap層(吸収層)があるため、フォトルミネッセンス(PL)ではその下にある AlGaAs 層の組成を評価することはできませんが、分光エリプソメーターでは、このCap 層の下にある数nmの非常に薄いAlGaAs膜の膜厚と組成比を求めることができます。
分光エリプソメーターを 用いることで、GaAs 系材料の膜厚や組成比などを非破壊・ 非接触で評価することが可能です。