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電界効果トランジスタ(MOSFET)に用いられるゲート絶縁膜は、薄膜化することにより性能を向上させてきました。従来ゲート絶縁膜に用いられていたのは酸化膜(SiO2)でしたが、膜厚が薄くなりすぎると絶縁性の効果が低くなり、リーク電流が発生することでMOSFETが機能しなくなります。その問題を解決する方法として、ゲート絶縁膜が薄くても絶縁性を保つ、酸化膜よりも誘電率の高い高誘電率(High-k)材料が用いられるようになってきております。一方、複素誘電関数(Ε)と複素屈折率(N)の間には関係がある(E=N2)ことから、屈折率が求められれば誘電率も分かります。よって、このような数nmのゲート絶縁超薄膜の膜厚と屈折率を非破壊・非接触で評価できれば、MOSFETの研究開発や品質管理を行う上で非常に役立ちます。
本アプリケーションノートでは、分光エリプソメーターUVISEL PlusによるHigh-k材料のHfOx超薄膜の膜厚と、膜厚による膜質(屈折率)の変化について紹介しています。
分光エリプソメトリーは、入射光と反射光の偏光状態の変化を波長ごとに計測し、得られた測定データをもとに光学モデルを作成、フィッティング計算をすることにより薄膜の膜厚および光学定数(屈折率n、消衰係数k)を非破壊、非接触で求める分析手法です。この手法を行う装置を分光エリプソメーターといいます。
光学モデルを図2、測定データとフィッティングカーブを図3、膜厚の違いによる屈折率の変化を表1と図4に示します。表1と図4よりHfOxは膜厚が薄くなると屈折率が下がる傾向が見られ、特に6nm以下で急激に低くなることが分かりました。屈折率が低くなれば誘電率も下がるので、絶縁性が悪くなります。この傾向はHfOx超薄膜のプロセスが最適化されておらず、今回の成膜条件では膜厚が薄くなると密度が低くなってしまったことが考えられます。この結果をもとに、プロセスの改善が必要であることが分かりました。
分光エリプソメーター UVISEL Plusではこのように、HfOx超薄膜の膜厚と膜質(屈折率)を求めることによって、プロセスの評価と改善を速やかに行うことが可能になります。
分光エリプソメーターUVISEL Plusを用いることで、ゲート絶縁膜に用いられるHfOx超薄膜のプロセスの評価と改善を非破壊・非接触で行うことが可能です。内容に関するご質問は、HORIBAはかるLABまでお問合せください。