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窒化ガリウム(GaN)はバンドギャップが室温において約3.4eVのワイドギャップ半導体であり、青色発光ダイオード(LED)の材料として知られております。また、絶縁破壊電解が大きいことからパワー半導体の材料としても有望であり、高電子移動度トランジスタ(HEMT)などのパワーデバイスへの 応用も期待されております。このような多層になったデバイス構造の膜厚や混晶の組成比を非破壊・ 非接触で評価できれば、研究開発や品質管理を行う上で非常に役立ちます。
分光エリプソメトリーは、入射光と反射光の偏光状態の変化を波長ごとに計測し、得られた測定データをもとに光学モデルを作成、フィッティング計算をすることにより薄膜の膜厚および光学定数(屈折率n、消衰係数k)を非破壊、非接触で求める分析手法です。この手法を行う装置を分光エリプソメーターといいます。
測定したサンプルは、青色LEDに使われる多層構造です。これを分光エリプソメーターで測定し、 各層の膜厚とn&k、さらにAlGaNの組成比を求めました。さらにクロスチェックとして、X線回折 (XRD)と X 線反射率(XRR)による評価も行いました
図2に各層の膜厚の予想値、分光エリプソメーターで得られた値、XRRで求めた値を示します。その結果、分光エリプソメーターで得られた値は、XRDやXRRと同様の結果が得られております。さらにXRRでは評価が不可能な数μm の膜厚も、分光エリプソメーターでは測定する ことができます。さらに分光エリプソメーターとXRDで求めたAlGaNの組成を比較したところ、こちらも同等の結果が得られました。
分光エリプソメーターを用いることで、GaN多層膜の各層の膜厚やAlGaNの組成比を非破壊・非接触で評価することが可能です。