一般に測定結果に影響を与えるような妨害イオンを含むときは、蒸留、マスキングなどの操作によって妨害イオンを測定系から除去、またはマスキングした後、pHおよびイオン強度を調整して測定用試料とします。また、必要に応じて希釈、濃縮、抽出などの前処理を行なってください。
イオン電極を比較電極とともに試料溶液に浸したときに生じる両電極間の電位差を測定し、検量線を用いて測定対象イオン濃度を求める方法です。この方法では、検量線の作成に用いる標準液の組成と試料溶液の組成が類似している必要があります。通常、標準液と試料溶液にイオン強度調整溶液を加えてイオン強度を等しくし、電位差を測定します。
また、測定対象イオンが錯体を形成している場合は、錯体解離剤溶液の添加、pHの調整などによって錯体を解離した後に電位差を測定します。測定操作の一例を次に示します。
* イオン応答膜に吸着している測定対象イオンを水洗いして充分に除去しないと、測定のとき誤差を与えます。
備考
次の各種測定方法がありますが、ここでは説明を省略します。
(1)標準添加-電位差測定方法
1.既知量添加方法
2.既知量削減方法
(2)電位差滴定方法
(3)グランプロット方法
1.標準添加方法への応用
2.電位差滴定方法への応用
測定対象イオンを含む試薬の必要量を容器に採り、水、または必要な試薬を加えて溶かしてメスフラスコに移し入れた後、水、または必要な試薬を標線まで加えます。これを原液とします。測定対象イオンの各濃度の標準液は、使用時に原液を段階的に採り、これを一定容積に希釈して調製します。この場合、各濃度の標準液のpHおよびイオン強度をほぼ同等にします。
原液は、分解などによって保存している間にイオン濃度が変化するものがあるためご注意ください。また、イオン濃度の変化の激しいものは、使用する前に毎回調製してください。
測定精度は、JIS Z8402(測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度))によって求めます。イオン電極法は、誤差が生じやすい方法のため充分に注意して行なってください。また、標準液を用いて繰り返し精度、再現精度を求め、定量上限および定量下限を各イオン電極について確認しておいてください。
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