フッ化物イオンは、pH5.2以下でフッ酸としての存在量が大きくなります。フッ酸はガラスを侵すため、基本的にはガラス電極によるフッ酸を含む溶液のpH測定は不可能です。ただし、電極の寿命は相当短くなりますが、ごく短時間であれば電極をサンプルに浸して測定することは可能です。また、サンプルが塩基性の場合、フッ素イオンは錯体となるため比較的使用に耐えられます。pH5.2~pH10の範囲内では、フッ化物イオンとしてイオン化しガラスを侵さないため、測定は可能です。pH12以上では、ガラスの網目構造が切れ、シリカ成分とフッ化物イオンが錯体を形成し、SiF62-として溶解しますのでガラスの網目構造がくずれ、測定は不可能となります。
[測定手順]
複合電極または一本電極を用いて、浸漬時間をごく短くして測定を行う。応答部が測定のたびに侵されるため、各測定ごとに校正を行う。測定終了後は電極系を0.1規定程度のHClで洗った後、純水で充分洗浄する。
※ただし、通常の使用より電極寿命は極端に短くなります。
なお当社では、フッ化水素酸含有サンプル測定用に次の電極を用意しています。
フッ化水素酸含有サンプル用pH電極(型式:9631-10D)
ガラス厚膜形成技術と新規応答膜を採用することで、フッ化水素酸含有サンプルへの耐久性が従来比3倍に向上。計量法も取得でき、安定した測定が可能。
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