ナトリウムイオン電極法による塩分測定は、塩分(食塩)のナトリウムイオンを測定して塩分を算出しています。一方、導電率法による塩分測定は、塩分(食塩)の濃度と導電率の関係に基づいて導電率の測定値から塩分を算出しているため、導電率法による塩分測定は、導電率の値に影響を与えるすべての共存イオンの影響を受けます。この注意点については、「導電率と塩分濃度ならびに導電率方式の塩分計の使用上の注意点」を参照ください。
LAQUAtwin塩分計(Salt-22)では、ジュース類、味噌汁などの水分をベースとするサンプルは前処理することなくそのまま測定することができます。トマトケチャップ、味噌などのペースト状のサンプルは、適宜純水を加えて均一にホモジナイズして(ミキサーなどで均一にする)測定します。測定値には、加えた純水による希釈率を掛けます。固形試料の場合は、純水を加えて充分ホモジナイズし、試料中の塩分を完全にイオン化して(加えた純水に完全に溶出させる)測定します。この場合も、測定値に加えた純水による希釈率を掛けます。詳しくは、イオン電極の使用例「ナトリウムイオン応答ガラス電極による加工食品中の塩分の測定例」で述べた前処理を参照してください。
たとえばNaCl 1%(w/w)の場合、純水990gに10gの食塩が溶解していること、すなわち合計1000gの溶液中に10gの食塩が溶解していることになります。NaClの分子量(式量)は23.0+35.5=58.5であり、NaCl 10g中には、10×23.0÷58.5=3.93gのNa+が含まれています。すなわち、1000gの溶液中に3.93gのNa+が含まれているため、ppm(百万分率)としては3930ppmとなります。
測定原理にかかわらず、測定のサンプルに使用したものをその後食用に用いないでください。
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