この章では、各種イオン電極を用いて水溶液中の対象イオンを測定する方法などについて説明します。
イオン電極(正式にはイオン選択性電極)とは水溶液中の特定のイオンに応答する電極のことです。この意味では、pH応答ガラス電極は水素イオン電極と解釈することができます。一般には、pH応答ガラス電極以外の各種のイオンに応答する電極を意味することが多いようです。
イオン電極に関する研究は1960年代以後活発に行われ、当社でも早くから各種のイオン電極を開発して販売しています。
特定イオン濃度は、イオンメーター、あるいはイオン測定機能を持つpHメーターに、特定のイオン電極と比較電極を接続して被検液中での両電極間の起電力を測定することで算出します。この際、感度を校正する(検量線を算定する)ため、濃度の異なる2種類の特定イオンの標準液が必要です。なお、pH応答ガラス電極と同様にイオン電極の感度も温度の影響を受けるため、一定温度(たとえば25℃)で測定する必要があります。
イオン電極は、目的とする特定のイオンにのみ応答するのではなく、性質のよく似た他のイオンにも応答します。この応答への影響を選択係数(目的のイオンと比較して他のイオンにも応答する程度をあらわした係数)で示します。
イオン電極の応答膜にはガラス薄膜(Na+、H+電極)、銀塩系固体膜(Cl-、Br-、I-、SCN-、CN-、S2-、Ag+、Pb2+、Cu2+、Cd2+などの各電極)、単結晶膜(F- 電極)、液体膜あるいはプラスチック固化膜(No3-、Ca2+、Na+、K+などの各電極)、ガス透過性膜(アンモニア電極)の各タイプがあります。
当社から販売しているイオン電極
これらの他、コンパクトタイプのイオン計も実用化しております。
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