さて、このようなことがわかったのは確かに大きな進歩には違いありませんが、活量というものは直接実測することができず、活量に基づくpHの理論計算が不可能であることがわかりました。そこで、実際にpHを測定するときにはある一つの水溶液(この場合、pHが一定で変化しにくい水溶液)のpHを基準に、これと比較することでpHを定めて測定しており、そのpH測定方法を国際標準化機構(ISO)や日本産業規格(JIS)で定義しています。
pH測定が広く行われるにともなって、同一試料に対する測定値の差異が問題となり、明確なpHの定義や標準の選定方法の制定が必要となってきました。そして、できるだけ早い機会にpH測定方法に関するJISを制定するよう努力すべきだということになり、種々の調査研究、各方面の参加を得て、昭和32年3月、pH測定方法についてのJISが制定されたのです。
JIS原案作成にあたっては、アメリカ、イギリス、フランスのpHに関する規格が参照されました。pHは国内だけでなく国際的な単位であるため、任意の基準によって定めると国際的に通じないものとなり、学術上、商業上に障害を生じるからです。
pHについて、さらに詳しく知りたい方は、下記の文献を参照してください。
また、次ページに「JIS Z 8802 pH測定方法」の一部をそのまま引用してご紹介しています。JIS規格は工業的応用のために制定されたものですが、pHをより正しく理解するためにぜひご一読、再読をおすすめします。
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