共存イオンの影響

イオン選択性電極は測定対象イオンに対する選択性に優れていますが、他のイオンにも応答する場合があります。
測定対象イオンと一緒に存在すると、測定対象イオン濃度の測定を妨げたり、影響を与えたりするイオンを「妨害イオン」と呼びます。したがって、イオン電極法においては、このような共存イオンの影響をよく知ったうえで、その影響を避けることが重要となります。

イオン電極法で測定した起電力に対する共存イオンの影響は、応答膜の構成物質と共存イオンの反応性から予想できます。例えば、固体膜電極の場合、応答膜の構成物質と難溶性の化合物を作ったり、錯塩を形成したりするおそれのある共存イオンは、大きな影響を与える可能性があります。また、液体膜電極の場合、応答膜中の成分とイオン会合体を作るおそれのある共存イオンは影響を与える可能性が大きくなります。

この影響の度合いは、選択係数(あるいは選択係数の逆数にほぼ対応する共存許容限界値)であらわします。詳細については、イオン測定の基礎 - 選択係数についてのWebページをご確認ください。
主な共存イオンの選択係数を次の表に示します。共存イオンの影響度はサンプル液の成分によって変わりますので、共存イオンの影響を確認し、測定してください。

測定対象イオン共存イオン(妨害イオン)選択係数
NO3-ClO4-, I-, SCN-不可
NO2-, Br-1×10ー1
Cl-3×10ー3
HCO3-, CH3CO2-6×10ー4
K+Rb+不可
Cs+3×10ー1
NH4+5×10ー2
Na+3×10ー3
Li+1×10ー3
Ca2+Fe2+, Fe3+, Zn2+不可
Cu2+1×10ー2
K+, Na+1×10ー3
Mg2+6×10ー4
Na+K+, Cs+1×10-2
Rb+5×10-3
Li+, NH4+1×10-3
Sr2+, Ba2+3×10-3
Mg2+, Ca2+1×10ー4
NH4+K+2×10-1
Na+1×10ー3
Li+3×10ー4
水・液体計測 HORIBAグループ企業情報