イオン選択性電極の測定原理

イオン選択性電極の応答膜は、サンプル液中に特定のイオンが存在すると、そのイオン濃度に相応した電位を発生します。発生した電位は、比較電極を基準とした電位差としてイオンメータまたはイオン測定機能を持つ計器で測定されます。
測定電位差とサンプル液中の測定対象イオン濃度(活量)の対数が、比例関係にあり、以下の式で表されます。

E = E0 + (2.303 RT/nF)logγC

E:測定される電極電位(V)
E0:系によって決まる基準電位(V)
  (比較電極の基準電位や液間電位差を含む)
F:ファラデ一定数(96485 C mol-1
R:気体定数(8.314 JK-1 mol-1
T:絶対温度(K)
n:イオンの電荷数
γ:活量係数
C:イオン濃度

この式はネルンストの式と呼ばれ、イオン選択性電極によるイオン濃度測定の基礎となるものです。
(2.303 RT/nF)はイオン濃度(活量)が10 倍変化したときに発生する電極電位の変化分で、感度、電位勾配、傾き、SLOPE(スロープ)、またはネルンス卜係数などと呼ばれています。
上記の式に従えば、標準液の校正を行って電位勾配の値を決めておくと、サンプル液中でのイオン選択性電極の電極電位E を求めることで、測定対象イオンの濃度(活量)C を求めることができます。

イオン濃度(活量)を対数軸にとると、イオン選択性電極で測定された電極電位とイオン濃度(活量)との間に、以下のグラフのような直線関係が成り立ちます。

1 価の陽イオン濃度(活量)と電極電位の関係

1 価の陽イオン濃度(活量)と電極電位の関係

ヒント

イオン選択性電極を用いて上記の定量分析を行うには、対数演算機能を持ったイオンメータまたはイオン測定機能を持つ計器を使用するか、片対数方眼紙を用いて検量線を作成して行います。

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