pH影響

イオン選択性電極の種類と構造によって、使用可能なpH 範囲が決まっています。
一般的に、この範囲は測定対象イオン濃度が低くなるほど狭くなります。
また、イオン選択性電極によっては応答膜の成分がpH によって溶解したり、電極電位がpH の影響を受けて変化したりするものがあります。
さらに、pH の影響によってイオン選択性電極の感度が低下したり、検量線が平行移動したりする場合もあります。
これらの影響を避けるためには、あらかじめpH を適当な値にして、一定に保つようにしてください。

各イオンの100mg/L標準液においての使用可能なpH範囲を次の表に示します。pHの影響度はサンプル液の目的イオンの濃度や成分によって変わりますので、pHの影響を確認し、測定してください。

測定対象イオンpH 範囲酸性側に調製する場合アルカリ性に調製する場合
NO3-pH4 ~ 7 (100 mg/L NO3-)硫酸水酸化ナトリウム
K+pH5 ~ 11 (100 mg/L K+)塩酸水酸化ナトリウム
Ca2+pH5 ~ 10 (100 mg/L Ca2+)塩酸水酸化ナトリウム
Na+pH5 ~ 10 (100 mg/L Na+)塩酸水酸化カルシウム
NH4+pH5 ~ 8 (100 mg/L NH4+)塩酸水酸化カルシウム

サンプル液のpH を測定に適した値にするには、あらかじめイオン選択性電極に影響を与えないpH 緩衝液(妨害イオンを含まない)を用意し、これをサンプル液に少量加える方法が簡単です。

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